抗菌薬適正使用 研修

 

風邪には一般的に抗菌薬は必要ない。

鼻水が黄色いからといって、そこに必ず細菌が感染しているわけではない。

実際、検体を採取してグラム染色という方法を用いて顕微鏡で

検査してもそこには最近は存在しないことがある。

 

グラム染色で細菌が見つかってから抗菌薬の投与を考慮する。

 

耳鼻科の先生のお話でしたので、主に咽喉頭炎、鼻炎、副鼻腔炎の

お話でしたが、軽症例では抗菌薬は投与しなくても

治癒するとのことでした。

 

もし抗菌薬が必要と判断される場合は主にペニシリン系抗菌薬の

アンピシリン(当院ではワイドシリン)を第一選択薬にすべきである。

 

当院ではいまのところグラム染色が出来ないので、取り組みとして

全身症状が強い場合に血液検査をしています。

 

白血球数その白血球の分画(白血球の分類)を調べています。

白血球数だけでなくその中身をみることに細菌感染か

ウイルス感染を区別しています。

 

当院ではLY、MO、GRの三種類に白血球を分類し、

LYが多ければウイルス感染、GRが多ければ細菌感染と判断する

ことが多いです。

実際の症状、所見と組み合わせて抗菌薬投与を決めています。

 

MOはLY増加、MO増加し咽喉頭痛、リンパ節腫脹などがあり高熱が

続いていればEBウイルスやアデノウイルスを考慮し、抗菌薬投与を

行いません。

CRPという血液検査も同時に行い、全身症状がどうなっているのか

判断します。0.3以下が正常ですが、風邪のウイルス感染は

ほぼ2.0以下が多いです。

 

EBウイルス、アデノウイルス、川崎病などは5.0を超えることもあります。

CRPは3.0を超えるばあいは注意深く観察するか基幹病院紹介かを

注意深く観察します。

 

咽頭痛、扁桃痛で黄色い膿のようなものが観察される場合は

ほぼ溶連菌感染症のことが多くやはりアンピシリンを第一選択として

投与します。溶連菌感染症の特徴として咳はあまりありません。

激しい咳を伴う場合は他の疾患を疑います。

 

主に6歳以上で激しい咳、発熱がある場合はマイコプラズマ感染症を

疑います。熱がなく軽症の場合は抗菌薬投与せず

経過観察も可能な疾患です。

血液検査ではCRP高値ですが白血球があまり増加せず、

白血球分画にもあまり偏りが見られないことが多いです。

このため一見ウイルス感染のようですが、激しい咳と発熱で

マイコプラズマを疑います。

 

当院では以上のような取り組みで抗菌薬投与症例は

全体の4%程度となっています。かなり少ない方だと思います。

 

今後グラム染色も考慮にいれ、抗菌薬適正を進めたいと思っています。

 

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